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多重債務の珍しい効果

日本においては長らく退職金支払負担の平準化あるいは掛金(=節税)効果に着目した企業年金導入が主流であり、その副次的効果としてファンデイングがあり、年金資産あるいは年金負債(過去勤務債務)は有価証券報告書上の脚注表示にとどまるという扱いを受けてきた。 積立不足額を早期に解消し、リスク許容度の高い年金基金とすることへのインセンティブが働きにくい状況であった。
今日、日本でも退職給付会計の導入、企業年金法の整備でょうやくファンデイングを一義的に考えた年金経営が始まったが、時期に伝統的資産における分散投資の効用が低下し、リスクに見合うリターンが獲得できるのかという局面に遭遇しているところに日本におけるむずかしさがあると思われる。 そこで、かつてはオルタナティプ投資にまったく関心を示さなかった日本の年金基金の間でオルタナティプ投資への取組意欲が高まってきている。
理由として2000年度2001年度と2年間にわたる年金運用のマイナスリターンが基金財政を直撃したことがあげられる。 内外株式マーケットの大幅下落といった市場全体の下ぶれという事態への対応策として、内外株式内外債券という伝統的資産とは低相関であり分散投資効果を向上させるオルタナティプ投資が注目されている。
特に、ヘッジファンドは市場の下ぶれリスクが懸念される弱気相場に強みを発揮する1年あまりのうちに年金基金の間で急速に取組先が増えつつある。 ただ、従来で弱気相場の見通しのもとで市場の下ぶれリスクが懸念される状況であっても、オルタナティプ投資がように注目されることはなかったのではないかと思われる。
転機となったのは、上記のように2000年4月からの国際会計基準に基づく退職給付会計の導入である。 退職給付会計の導入により、母体企業が業会計上の債務として認識計上しなければならなくなり、加えて、近年の金利低下により、退職給付債務の将来予測l額を現在価値で評価するための割引率が低下し、その結果PBOが増大するという深刻な事態に見舞われたのである。
年金におけるオルタナティプ投資の活用法2年間における年金運用の下ぶれによる年金資産の目減りは積立不足額(未積立PBO)の増加につながり、企業決算に直接的な影響を及ぼすようになってきた(積立不足額の増大という事態に遭遇しでも、従来でそれを補うために将来の掛金額が増加するというマイルドな形でしか企業決算に影響を及ぼさなかった)。 ように年金基金関係者が現在最も頭を痛めている問題は、3-4にあるように運用の下ぶれリスク問題とPBO問題の二つである。

二つの問題解決のいずれにも実はオルタナティプ投資がかかわっている。 年金運用の大原則が、国際分散投資であることはすでに述べてきたところであるが、年金基金の政策アセットミックス(資産配分比率)を国内債券から2001年12月までの17年間のリターンは、ここ2年間の内外株式市況の低迷による2年連続のマイナスリターンはあるものの、年平均利回りは5.59%となっている(3-5)。
ここりを確保できたとの見方もできなくはない。 2年間のマイナスリターンは年金基金の積立不足額の拡大につながり、まさに時期に退職給付会計の導入による年金債務のオンバランス化を余儀なくされたことに年金基金関係者の大きな悩みがある。
現在の不況下において、母体企業の多くはリストラ策の実施による企業収益の改善を目指しているわけであるが、これを上回る金額で運用の下ぶれによる積立不足額が発生し、これが母体企業を直撃しており、「年金情報」2002年1月21日号の表現を借りれば「尻尾が胴体を振り回している」という状況である。 日米年金市場におけるオルタナティプ投資の取組実績格差の背景は上記のとおりであるが、共通していることはヘッジファンドについては日米ともにこれからが創世期といえる状況であるということである。
というのは年金先進国である米国においても米国株式が右肩上がりであった時代にはヘッジフアンドは魅力的な投資手法ではなく、右肩上がり神話が崩壊し、株式相場の下ぶれ懸念が増大しているいま、初めて日本同様へッジファンドの本格的な取組時期を迎えようとしている。 オルタナティプ按資の組入比率の決定方法(ベータ戦脂)運用の下ぶれ懸念への対応策としてオルタナティプ投資、特にヘッジファンドが有効であることはすでに述べたとおりである。
では「オルタナティプ投資の組入比率」および「マネージャーセレクション」をどのように行うか、について順を追って説明することにしたい。 そもそも年金運用の目的は何かと考えると「年金負債を上回る年金資産を積み立て、これを維持していく」ということに尽きるであろう。
そのためにまず年金ALMを実施し、「各々の年金基金の財政推移」や「母体企業の掛金負担能力」、「目標とする積立水準」といった負債サイドからの要請を考慮したうえで政策アセットミックスを設定する。 政策アセットミックスの期待リターンは組入資産を各々市場収益率(インデックス)どおりに運用すれば獲得できるこれを効率的に達成することに的を絞れば、どこか1社の運用機関にインデックス運用を委託すればよいということになる。
ながら、多くの年金基金は政策アセットミックスから導き出される期待リターンにアクティブ運用による付加価値を上乗せするための努力を行っている。 アクテイプ運用による付加価値上乗せのための運用機関構成(マネージャーストラクチャー)は、バランス型中心の第1ステージ、アクティブバランスをコアとしてサテライトにハイリターン指向の特化型を配した第2ステージ、大半をパッシブバランスとしてサテライトにハイリターン指向の特化型を配した第3ステージに分類される。
年金基金のみならず個々の運用機関においても5332規制が適用されていた時期は、オールバランス型が主流(それ以外選択の余地がなかった)であっためていることに変わりはないが、従来はアセットアロケーションも含めたお任せ型と呼ばれる包括的な委託形態が主流であったのに対し、最近では年金基金が運用ガイドラインと呼ばれる資産配分計画を提示し、そのなかで包括的な運用を委託するケースが増えてきている。 年金基金が運用ガイドラインを提示するという点で、かつてのお任せ型とは一線を画していると考えるべきであろう。
第2ステージの典型的なマネージャーストラクチャーは、バランス型をコア、特化型をサテライトと位置づけたシンプルなコア/サテライト型運用である(3一7)。 コアバランス運用は文字どおり安定運用を行い、たとえば囲内株式のケースでパッシブ運用とアクティブ運用を組み合わせ、さらにアクティブ運用はスタイル分散によりミスフィットリスクを回避し、安定的にアクテイブリターンを確保するものでなくてはならない。

つまり、コアバランス運用は、いわば年金基金が行うべき基金全体のリスク調整機能の役割を代替するという側面があり、たとえば、政策アセットミックスからの過度な希離を資産配分のリバランス(資産配分の調繋)によって是正するポートフォリオオーバーレイ機能を担う場合がある。 一方、サテライト運用は積極的にアクテイブリターンを追求する運営を行うものであるが、場合もスタイルの偏在がないように留意する必要がある(複数資産を委託し準特化型運用を行うケースもある)。

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